浅草寺ってなんの神様?名前の由来やご利益について解説

東京で有名な観光地「浅草」の中心である浅草寺ですが、なんの神様がいらっしゃるかご存じでしょうか。

実は数多の災難を乗り越え、多くの人を寄せ付ける力を持つ所願成就のとてもパワフルな神様なのです。今回は浅草寺の歴史について解説します。

浅草寺はなんの神様がいるの?

飛鳥時代の628年3月18日早朝、近隣に住んでいた兄弟である檜前浜成(ひのくまのはまなり)と竹成(たけなり)が宮戸川(現在の隅田川)で漁をしていたところ、一体の像を引き揚げました。

一度は川に戻したのですが、何度場所を変えても引き揚がるため不思議に思い、持ち帰ることにしました。

像を拝観した地域の知識人である土師真中知(はじのまつち※名前表記諸説あり)が「その名前を唱えて願いを念じると叶えてくれるありがたい神様ではないか」と兄弟に教えを説いたのち、自宅を寺に改装し、「聖観世音菩薩」として安置したことが浅草寺の始まりです。

昭和に入った1942年には天台宗から「聖観世音宗」という独自の宗派に改宗され、現在でも18日は聖観世音菩薩の縁日になっています。

像が引き揚げられた日に「一日にして千本の松が生え、3日すぎると松林に金の龍が舞い降りた」という言い伝えより、浅草寺は山号を「金龍山」と名付けられました。

仏像は後の645年に寺に仕えた僧の夢のお告げから「秘仏」とされ、現代に至るまで関係者の目にも触れることなく鎮座しており、かわりに本堂奥では「御前立」という礼拝のための像が公開されています。

漁師の檜前兄弟と寺の創始者である土師氏の3名は隣接する浅草神社に神として祀られ、地元の人々からは「三社様」として親しまれており、毎年5月に行われる「三社祭」は全国でも有名な初夏の風物詩です。

彼らをなんの神様といえば「神様を再び地上にみちびいた神様」といったところでしょうか。

聖観音(しょうかんのん)とはなんの神様?

千手観音のようにたくさんの手をもつわけではなく、普通の人間のような姿をしている観音様で、とくに一体だけで祀られているものを指し、生きとし生けるものの救済にあたっている慈悲深い神様です。

また、一般的に観音とは仏になるための修行を行っている身分の神様のことを指します。

浅草寺の由来

飛鳥時代に建立された浅草寺ですが、最初は個人宅を改装した場所であったことからもと浅草(あさくさ)と呼ばれている土地に建つ仏教の寺(中国が由来の神様)、という理由から慣例により音読みで浅草寺(せんそうじ)と読まれています。

浅草の地名の由来は諸説ありますが、土地柄で海に近い湿地となっていたため、他の地域と比べて「草の茂りが浅かった」ことが有力です。

ご利益について

土師氏に教えを説かれた檜前兄弟が、観音像を拾った当日には魚がまったく捕れなかったため、翌日に魚が取れるよう願ったところ、大漁となった記録があります。

そもそもはなんの神様であったのか詳細は定かではありませんが、520年頃に水害のあった上流域の寺から流されたものという説が存在します。

現在の浅草寺に安置された後も、数百年にわたって幾度となく火災よる本堂全焼などの災難に遭いました。しかし、どんな災難にあっても無事に残る強運の持ち主で、かつては徳川家康が武運の祈願に参拝するほどの評判です。

また、浅草は江戸の郊外にあたる地域で、当時は風紀を乱すとされ中心地から追いやられた遊郭や歌舞伎などの興行団体が集まり、繁華街として栄えました。

明治のころには日本初の電動式エレベーターを備えたタワーが建設され(のちに焼失)、現在も世界中から毎年約3,000万人が訪れる人気の観光スポットです。

浅草寺は「神様の名前を唱えながら念ずるとどんな願いをもかなえる観音様」であるため、所願成就の神様に該当しますが、今までの経緯から「厄除け」や「商売繁盛」には特段のご利益があるとされています。

凶が出やすいで有名?!なおみくじ

浅草寺のおみくじは「凶」が出やすいことで有名で、他の神社仏閣が1割程度であることに対し、浅草寺はなんと3割もの割合で凶が出るのです。この割合は観音百籤(かんのんひゃくせん)という平安時代からの伝統の方式にのっとり定められています。

学生時代、浅草に通い続けていた筆者の個人的な感想ですが、他所のどのおみくじよりも書いてあることが的確なアドバイスになっていると思うおみくじです。

書き方としては「現在○○という状態ならば○○ではないでしょうか」という趣旨の内容で、行き詰ったときにひいて読むと、どんな結果であっても「まさしく今探していた答えだ」と思う言葉に出会う機会が多いように感じています。感じ方には個人差がありますが、たとえ凶が出ても結果だけにとらわれず、内容を読んでポジティブにとらえることをおすすめします。

浅草寺はなんの神様がいるの?【まとめ】

浅草寺には、川に流れて何度も引き揚がり、数多の火災も無事に乗り越えた強運をもつ秘仏が本尊として鎮座しています。

周囲は1,000年以上の長きにわたり繁華街として栄え、古くから庶民に愛される街で、多くの人々を引き付けてきました。現在では世界中から人を寄せ集める観光地であり、強力なパワースポットであるともいえます。

浅草寺に祀られているのはなんの神様かというと本尊は観音様であり、隣接する浅草神社には観音様を引き上げた「三社様」が祀られています。

浅草を観光しながら、「どんな困難にも打ち勝ち、人々を寄せ付ける力を持つ」慈悲深い観音様のパワーを実感してみてはいかがでしょうか。