島根県の観光地としても上位にあがる石見銀山ですが、魅力が今一つ感じられず、つまらないという声をよく耳にします。
理由は様々あると思いますが、移動範囲が広かったり、ある程度の知識が無いと楽しめなかったりすることも原因の1つではないでしょうか。
ですが、石見銀山にはたくさんの魅力があるんです。
石見銀山は、1527年から1923年という長きにわたって銀の発掘から輸出までのすべてを行っていました。
銀を掘っていた坑道「間歩(まぶ)」は、地域全体でおよそ800は存在し、現在も見学できる間歩も存在します。
その他にも、銀の精錬所のあとや、武家屋敷など様々な施設が残されており、石見銀山を訪れると当時にタイムスリップしたような感覚も味わうことができるんです。
子ども向きの観光地では無いとも言われていますが、普段あまり接することのない大自然を満喫できますし、川では魚や亀を見つけられてり、見たことのない昆虫に出会えたりすることもあるかもしれません。
今回は、石見銀山が世界遺産に登録された理由や、本当の魅力について詳しく解説していきたいと思います。
Contents
石見銀山が世界遺産に登録された理由は?
石見銀山は2007年7月2日に、世界文化遺産として世界遺産に登録されました。
石見銀山は正式には、「石見銀山遺跡とその文化的景観」と登録されています。
では、石見銀山はどういったことが理由で世界遺産に登録されたのでしょう。
理由を簡単に説明すると、以下の3つになります。
・銀を掘っていた坑道、輸出していた街道や港など、銀山運営の全貌が残されていること
・16世紀から17世紀初めにかけて、石見銀山の銀が世界の経済や交流に大きな影響を与えていたこと
以上のようなことが理由で、見事登録されたのです。
それぞれ解説していきます。
銀生産に関わる、坑道の跡などが良い状態で残されていること
石見銀山には、一般公開されていて中も見学することができる「龍源寺間歩」をはじめ、歩いていると様々なところで間歩を見つけることができたり、精錬所の跡地を見学できたりすることができます。
間歩を見てみると実際に、「ノミ」で掘られた跡が残っていることもあり、当時そこでたくさんの銀が掘られ、精錬されていたということをイメージできるほどです。
銀を掘っていた坑道、輸出していた街道や港など、銀山運営の全貌が残されていること
間歩や精錬所をはじめ、精錬した銀を港まで歩いて運ぶために作られた街道も残され、石畳や側溝、石切り場の跡も確認することができます。
銀の輸出や、石見銀山への物資を届けるための船を泊めていた港には、「鼻ぐり岩(はなぐりいわ)」と言われる、船をつないでいた岩もたくさん残されています。
16世紀から17世紀初めにかけて、石見銀山の銀が世界の経済や交流に大きな影響を与えていたこと
当時は、戦国時代で日本は海外から戦に使える原料や鉄砲など手に入れたいという考えだったため、ポルトガルやスペインなどの国に銀を渡すことで、それらを得ていたといいます。
そして、ポルトガルやスペインなどの国は、手に入れた銀で、また他国と交易をおこなっていたという歴史があり、江戸時代には「天領」として、江戸幕府が直轄していた時代があるほどの影響力を持っていたとされています。
一見地味に感じる石見銀山ですが、実はこんな歴史が隠されており、世界遺産に登録されたのも納得していただけるのではないでしょうか。
石見銀山ってつまらないの?
石見銀山についてネットで検索すると、必ずと言って良いほど「つまらない」というキーワードを目にしますよね。
どうしてそのような声が多く上がってしまっているのでしょう。
理由としては、
歴史に興味がないと理解しにくい
といった点が挙げられます。
石見銀山は、1つの建物や場所が世界遺産として登録されているわけではなく、いくつかの建物や場所がまとめて登録されているイメージです。
登録されている広さでいうと、529.17haと、とっても広く、東京ドームでいうと約106個分にもなるんです。
実際に移動範囲が広すぎて歩くだけでもへとへとになってしまいますし、歴史に興味がない人が予習なしで行ってしまうと、どこを見ればよいのかわからず、「疲れに行っただけだった」なんて感想になってしまうのかもしれません。
島根県や大田市のホームページや、石見銀山世界遺産センターのホームページにも石見銀山についての解説が載っていますので、行かれる方はぜひ事前に見られることをおすすめします。
また、現地にはガイドさんもいらっしゃいます。
私も実際現地のガイドさんのお話を聞いたことがありますが、本当にわかりやすく楽しめました。
全部で10のコースが用意されていますので、ご自身が特に行ってみたい箇所が含まれるコースを選び、ぜひガイドツアーに参加してみてください。
石見銀山の魅力ってどんなとこ?
石見銀山には、本当にたくさんの魅力があるんです。
その中でも、特に見ていただきたい所を3つご紹介します。
限定公開の大久保間歩
石見銀山には、約800の間歩があるとされていますが、その中でも見学が可能なのは「龍源寺間歩」と「大久保間歩」です。
「龍源寺間歩」は一般公開されているため、大人410円子ども210円未就学児無料で誰でも見学が可能です。
一方で、「大久保間歩」はいつでも行けるわけではなく、「大久保間歩一般公開限定ツアー」に申し込んだ人だけが見学することができる間歩なんです。
「大久保間歩」は石見銀山に残る間歩の中で最大の大きさで、全長が約900m、高さは1番高いところで約20mとなっています。
当時のままほとんど手を加えず、そのままの状態で残されているので、とても迫力があり、実際に掘られた跡を目にすると、当時の人の工夫や苦労が感じられます。
また、ガイドさんがしっかりと説明をしてくれるため、とても分かりやすく理解することができるのも魅力です。
料金は、大人3,700円子ども2,700円未就学児見学不可となっています。
料金が少し高めかなと思う人もおられると思いますが、それだけの価値はあるはずです。
圧巻の清水谷精錬所跡
石見銀山に残される施設の中では比較的新しく、1895年に作られた精錬所です。
石見銀山は1527年に発見され、1923年に閉山されています。
清水谷精錬所は、当時大阪の藤田組が石見銀山を再び開発しようと取り組みを始め、新しい採掘施設や精錬方法を取り入れるために作られました。
しかし、期待を込めかなり大きな施設を完備したのにも関わらず、今までたくさん掘られてきた鉱山からは、予想していたよりも量が取れず、質も悪かったため、約1年半での廃業となってしまったのです。
現在も、何段かある石段が残されており、コケや草は生えてしまっていますが、遺跡らしさを感じることができ、当時栄えていた様子も何となくイメージすることができるため、魅力のある施設と言えます。
昔ながらの町並み
石見銀山の当時の雰囲気を存分に味わえるのは、やはり町並みではないでしょうか。
石見銀山の町並みは、昔から残る武家屋敷や商家が並ぶ他、当時の外観が残されているショップやカフェも立ち並び、タイムスリップした感覚を持って楽しむこともできます。
また、町並みの保存のため、石見銀山の町並みには電線もなく、景観から浮くような建物などはほとんど存在しません。
地元住民の方々も協力しておられるようで、郵便ポストを木製のものを使ったり、家を建てたときには、景観に浮かないように、木製の大き目な門を作って目隠しをしていたりするんだそうです。
そんな町並みをぜひゆっくり歩いて、石見銀山をしっかりと味わってみてください。
石見銀山が世界遺産に登録された理由とは?【まとめ】
いかがでしたでしょうか。
今回は、石見銀山が世界遺産に登録された理由って何?魅力が無くつまらないって本当?
をテーマに詳しく説明してきました。
世界遺産の中でも、なかなか人気の上がらない石見銀山ですが、素晴らしい歴史をもち、現在も残された建物や施設は、見学できるものも多くあります。
石見銀山に行かれる前には、ぜひネットなどで事前に予習をして行ってみてください。
当日の楽しみ方が大きく変わってきますよ。