比叡山延暦寺は、天台宗の総本山として1200年以上の歴史を誇る日本仏教の聖地。
そんな延暦寺では、エリアやお堂ごとに異なる11種類の御朱印がいただけるほか、高級感ある蒔絵御朱印帳も手に入ることから、御朱印巡りを楽しむ人にとって憧れの場所となっています。
本記事では、延暦寺の御朱印帳のサイズや紙質、デザインの違いをはじめ、御朱印の文字内容や「書き置き」スタイルの意味まで詳しく解説します。
延暦寺で御朱印帳を買うか迷っている方、これから御朱印巡りを始めたい方もぜひ参考にしてみてください。
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延暦寺の御朱印帳とは?特徴と魅力を紹介

比叡山全域を境内とする延暦寺では、他では手に入らないオリジナルの御朱印帳が販売されています。
特に人気なのは、根本中堂で授与されている蒔絵仕上げの高級御朱印帳。
日本の伝統技法を用いた繊細なデザインで、御朱印帳そのものが“美術品”のような佇まいです。
さらに、延暦寺では仏具や堂宇(お堂)、歴史的モチーフを描いた御朱印帳も複数展開されており、色のバリエーションも紫・赤・黄・緑・ピンクなど豊富。
それぞれに由来や意味が込められており、単なる参拝記録用のノートではなく、信仰の証・祈りの象徴としての重みがあります。
御朱印帳を開けば、延暦寺での体験や思い出が1ページずつ積み重なっていく感覚。
延暦寺の御朱印帳は、御朱印巡りのスタートにも、長く使い続ける1冊としてもおすすめです。
サイズ・紙質・種類の違いは?御朱印帳選びのポイント
御朱印帳にはさまざまなタイプがありますが、延暦寺で授与される御朱印帳もまた、サイズ・紙質・デザインの違いによっていくつかの種類に分かれています。
はじめて選ぶ方も、すでに複数冊持っている方も、以下のポイントを参考にしてみてください。
サイズはB6が基本、A5や豆本サイズも存在
一般的な御朱印帳のサイズはB6サイズ(縦約18cm×横12cm)が主流で、延暦寺でもこのサイズが基本となります。
持ち運びやすく、鞄にスッと収まるため、参拝旅の相棒として最も人気のある規格です。
最近では、もう少し大きなA5サイズ(縦21cm×横15cm)や、かわいらしい豆本サイズ(掌に収まる小型)の御朱印帳も登場しており、自分の使い方や好みに応じて選べるようになっています。
紙質は奉書紙や鳥の子和紙など、にじみにくさが重要
御朱印帳には「奉書紙(ほうしょし)」という厚手の和紙が使われることが多く、延暦寺の御朱印帳もこの紙質が基本です。
奉書紙は墨のにじみが少なく、乾きが早いのが特徴で、直書きでも美しく記録が残せます。
高級タイプでは「鳥の子和紙(とりのこわし)」というさらに滑らかで上質な和紙が使われることもあり、筆の運びやインクの発色にも違いが出ます。
色や意匠の種類も豊富!モチーフの意味もチェック
延暦寺の御朱印帳には、色やモチーフによって異なる種類が用意されています。たとえば:
- 紫・赤・緑など色違いタイプ:個人の好みに応じて選べる定番タイプ
- 仏具や法具が描かれたデザイン:天台宗の教義に関わる図柄が多く、祈りの象徴
- 不滅の法灯モチーフ:根本中堂に受け継がれる1200年の火を表す特別デザイン
- 蒔絵御朱印帳:金や銀の加飾が施された豪華仕様。参拝記念としても人気
色やデザインに明確な意味や歴史的背景があることも多いため、見た目の好みだけでなく、ご縁や信仰の象徴として選ぶ楽しみも味わえます。
延暦寺のどこで御朱印帳を購入できる?
延暦寺の御朱印帳は、比叡山内の複数の授与所(御朱印受付)で購入できます。
エリアごとに授与されている種類や在庫状況が異なるため、どこで何が手に入るのかを事前に把握しておくと安心です。
東塔エリア|根本中堂の授与所(御朱印受付)
もっとも品ぞろえが豊富なのが、延暦寺の中心ともいえる東塔エリアの根本中堂です。
ここでは、定番の色違い御朱印帳のほか、金や銀を用いた蒔絵仕上げの高級御朱印帳も授与されています。蒔絵タイプは特別感があり、参拝記念や贈り物にも人気です。
根本中堂は比叡山延暦寺の本堂にあたり、「不滅の法灯」も安置されている場所なので、御朱印帳の図柄にもそのモチーフが多く登場します。
西塔エリア|常行堂などで授与あり
西塔エリアでは、常行堂の授与所にて御朱印帳を授かることができます。
東塔ほどの種類はありませんが、シンプルな御朱印帳や一般的なサイズの帳面が中心です。
観光客が少なめで比較的静かな環境のため、ゆっくり選びたい方に向いています。
横川エリア|横川中堂の授与所
横川エリアでは、横川中堂の御朱印受付で御朱印帳をいただけます。
このエリアでは、横川限定の御朱印にあわせて選べるデザインもあり、静かな山中で御朱印帳と向き合うひとときが楽しめます。
注意点:御朱印帳は売り切れることも
人気の高い蒔絵タイプや限定デザインは、数量限定での授与となっている場合があります。
繁忙期や特別行事の時期は売り切れてしまうこともあるため、狙っている御朱印帳がある方は、早めの時間帯に参拝・授与を済ませるのがおすすめです。
御朱印帳は他のお寺でも使えるの?
御朱印帳は、購入した寺社だけでなく、全国どこの神社・お寺でも使えるアイテムです。
つまり、延暦寺で手に入れた御朱印帳を持って、京都や奈良、伊勢神宮、鎌倉の寺社などを巡って御朱印を集めていくことができます。
御朱印帳は“信仰の証”であり、“旅の記録帳”でもある
御朱印帳は単なるノートではなく、参拝した証を記す「ご縁の帳面」です。
本来は、お経を納めた証として授与された「納経印」が起源とされており、現在では参拝すれば誰でも御朱印をいただけるようになっています。
延暦寺のような有名寺院で購入した御朱印帳は、記念としても特別な1冊となり、他の寺社での御朱印集めもより一層楽しみが深まるでしょう。
“ガチ勢”は帳面を使い分けることも
御朱印を本格的に集めている方の中には、帳面を以下のように使い分ける人もいます:
- 寺院用/神社用で分ける
- 有名寺院専用(例:延暦寺専用)
- イベント限定(七福神巡りなど)
- 蒔絵御朱印帳は観賞用として保管
このように使い方は自由ですが、どれも「信仰の記録」として大切に扱われています。
どこで買っても、どう使っても自由
御朱印帳は、どこで買っても、どこで使ってもOKです。
ただし、御朱印は本来“参拝の証”ですので、帳面に記録してもらう前に、まずはしっかりと手を合わせてお参りする心が大切です。
書き置き御朱印とは?貼り方・手書きか印刷かの違いも解説
御朱印と聞くと「御朱印帳にその場で書いてもらう」というイメージが強いかもしれませんが、近年では「書き置き」タイプの御朱印も多く見られるようになりました。
書き置き御朱印とは?
書き置きとは、御朱印帳に直接書いてもらうのではなく、あらかじめ和紙などに書かれた御朱印を紙でもらう形式のことです。
参拝者は、その御朱印を自分の御朱印帳にあとから貼り付ける形になります。
どんなときに書き置きになるの?
以下のようなケースで書き置き御朱印が授与されることが多いです:
- 行事や限定デザインで、事前に準備された御朱印
- 混雑時や人手不足で直書き対応が難しいとき
- 住職が不在の日や、書き手が限定されている場合
延暦寺のように広い寺院では、書き置きで対応している場所もあり、デザイン性の高い御朱印が多く用意されています。
書き置き御朱印は手書き?印刷?
これは寺社によって異なります。
- 手書きタイプ:一枚一枚筆で丁寧に書かれたもの。個性や墨の濃淡が感じられます。
- 印刷タイプ:美しいデザインやアート性を活かしたカラー印刷が中心。最近は人気が高いです。
- 混合型:印刷された紙に日付や名前だけ後から手書きされているものもあります。
どちらも価値があり、コレクション性の高いものとして御朱印ファンに好まれています。
書き置き御朱印の貼り方は?
書き置きはただの和紙なので、以下の方法で御朱印帳に貼り付けます:
- スティックのりや両面テープで貼る
- マスキングテープで四隅を留める(剥がせるように)
- ポケット式の御朱印帳を使う(差し込むだけで貼り付け不要)
最近では「書き置き御朱印専用」のポケットタイプ御朱印帳も人気で、貼り直しが不要な点が好評です。
書き置きでもご利益は変わらない
「手書きじゃないとありがたみが…」と思う方もいるかもしれませんが、書き置きも正式な御朱印です。
印刷でも手書きでも、大切なのは“参拝の心”と仏様とのご縁です。
延暦寺の御朱印|種類・授与場所・料金を総まとめ!
比叡山全体を境内とする延暦寺では、複数のお堂で異なる御朱印が授与されています。
御朱印を通じて仏様とのご縁を記録する楽しみがあり、御朱印帳を持って訪れる参拝者も多く見られます。
御朱印の授与場所と対応仏様
延暦寺には東塔・西塔・横川など各エリアに御朱印受付があり、場所によっていただける御朱印が異なります。代表的なものは以下の通りです:
堂名 | ご本尊 | 授与場所 |
---|---|---|
根本中堂 | 薬師如来 | 根本中堂 |
大講堂 | 大日如来 | 大講堂 |
文殊楼 | 文殊菩薩 | 大黒堂で対応 |
大黒堂 | 三面大黒天 | 大黒堂 |
萬拝堂 | 千手観音 | 大黒堂で対応 |
阿弥陀堂 | 阿弥陀如来 | 阿弥陀堂 |
法華総持院東塔 | 両界五仏 | 法華総持院東塔 |
釈迦堂 | 釈迦如来 | 釈迦堂 |
横川中堂 | 聖観音 | 横川中堂 |
元三大師堂 | 元三大師 | 元三大師堂 |
正覚院不動 | 不動明王 | 延暦寺会館フロント(書き置きのみ) |
※一部のお堂(文殊楼、萬拝堂など)は直接ではなく別の場所で御朱印が授与されている点に注意が必要です。
御朱印の料金(冥加料)
延暦寺では2024年4月に冥加料が改定され、以下の料金がかかります:
種類 | 冥加料(税込) |
---|---|
通常御朱印 | 500円 |
縁日御朱印 | 700円 |
各霊場御朱印 | 500円 |
重ね印(押印のみ) | 300円 |
おいずる | 300円 |
御軸 | 500円 |
縁日限定の御朱印も見逃せない
毎月決まった日には、紺紙金泥で彩られた特別な縁日御朱印も授与されます。
たとえば薬師如来は毎月8日、阿弥陀如来は15日など、各仏様の“縁日”にあわせて授与されるため、日付を狙って訪れるファンも多数います。
詳しくは[延暦寺の御朱印には縁日限定の特別版もある]の章で紹介しています。
御朱印に記される文字の意味とは?
御朱印帳に記される文字は、ただの記号やスタンプではなく、仏様の名前や寺院の名称、仏教的な意味を持つ言葉が墨で丁寧に書かれています。延暦寺では、お堂ごとに異なる文字が記され、仏教の世界観や教えを感じ取ることができます。
ご本尊の名前が書かれることが多い
延暦寺の御朱印で最もよく見られるのは、各お堂に祀られているご本尊の名前です。
例としては以下のような文字が挙げられます:
- 薬師如来(やくしにょらい):根本中堂のご本尊。病気平癒や健康長寿の仏様
- 阿弥陀如来(あみだにょらい):西塔・常行堂など。極楽往生を司る仏様
- 千手観音(せんじゅかんのん):横川中堂に祀られる、すべての人を救う観音様
これらの文字は、単なる名前ではなく、「どの仏様とご縁を結んだか」の記録でもあります。
お堂の名前や寺名も記載される
多くの御朱印には、参拝したお堂の名前や「比叡山延暦寺」といった寺院の名称も記されます。
たとえば「根本中堂」「常行堂」「横川中堂」など、それぞれの拝観場所に対応した文字が入り、どこで何を拝んだのかが一目でわかります。
教義に関わる言葉や象徴的な語句も
特別な御朱印では、仏教の教えや歴史的な意味を持つ言葉が添えられることもあります。
- 「不滅の法灯」:最澄が灯して以来1200年以上燃え続けている延暦寺の聖火
- 「南無阿弥陀仏」:阿弥陀様への帰依を表す祈りの言葉
- 「一隅を照らす」:最澄が大切にした、世の片隅を明るく照らすという教え
このような言葉が墨で書かれることで、御朱印が単なる旅の記念ではなく、心に残る“祈りの記録”となるのです。
書き手によって文字の風格も変わる
御朱印の文字は、僧侶や書き手によって書かれるため、同じ仏様の名前であっても筆跡やレイアウトに個性があります。
まさに“世界にひとつだけの御朱印”がいただけるという点も、御朱印帳の魅力のひとつです。
延暦寺の御朱印は何種類ある?巡るならどこを回る?【補足】
延暦寺は、比叡山全体を境内とする広大な寺院で、「東塔(とうどう)」「西塔(さいとう)」「横川(よかわ)」という3つの主要エリアに分かれています。
それぞれのエリアに複数のお堂があり、御朱印も各所で異なるものが授与されているため、延暦寺全体で20種類以上の御朱印が存在しています。
東塔エリア|延暦寺の中心、根本中堂でご本尊と対面
東塔は延暦寺の中心エリアであり、総本堂である「根本中堂」があります。
薬師如来を祀り、不滅の法灯が灯り続ける聖地として、多くの参拝者が訪れます。
このエリアでは、根本中堂や大講堂などで御朱印が授与されており、御朱印帳もここで手に入ることが多いです。
西塔エリア|静寂な森の中で阿弥陀如来に手を合わせる
西塔は東塔から少し離れた森の中に位置し、訪れる人が比較的少ない静かな場所です。
常行堂や釈迦堂などで御朱印がいただけ、阿弥陀如来にまつわる墨書が記されることが多いです。
横川エリア|山深く、千手観音と向き合う祈りの場
横川エリアはさらに奥にあり、山中の自然と静けさの中に包まれたエリアです。
横川中堂では千手観音の御朱印が授与されており、こちらも書き置き対応になることが多めです。
全エリアを回るなら1日以上の余裕を
延暦寺の3エリアはそれぞれ離れており、徒歩やバス移動を含めると1日で全て回るのはなかなかハードです。
特に御朱印をいただきながらゆっくり巡るなら、時間に余裕をもったスケジュールを立てるのがベストです。
延暦寺の御朱印には縁日限定の特別版もある
延暦寺では、通常の御朱印に加え、仏様の縁日(命日やゆかりの日)にだけ授与される特別な御朱印もあります。
これらは「縁日御朱印」や「特別御朱印」と呼ばれ、紺紙に金泥で書かれた書き置きタイプが中心です。デザインも荘厳で、記念性の高い御朱印として人気があります。
特別御朱印の例(2025年の縁日情報)
以下は実際に延暦寺で授与されている縁日御朱印の一部です。
※日付は基本的に毎月固定されています。
日にち | 仏名 | 堂名(授与場所) |
---|---|---|
8日 | 薬師如来 | 根本中堂/滋賀院門跡 |
15日 | 阿弥陀如来 | 阿弥陀堂 |
17日 | 千手観音 | 萬拝堂(※授与は大黒堂) |
18日 | 観世音菩薩 | 横川中堂 |
20日 | 十一面観音 | 生源寺 |
25日 | 文殊菩薩 | 文殊楼(※授与は大黒堂) |
28日 | 大日如来 | 大講堂/法華総持院東塔 |
30日 | 釈迦如来 | 釈迦堂 |
子の日 | 三面大黒天 | 大黒堂 |
午の日 | 荼枳尼天 | 星峯稲荷堂(※授与は根本中堂) |
注意点:授与場所が本堂とは異なる場合も
一部の御朱印は、本来のお堂ではなく別の場所で対応しているため、以下のように注意が必要です:
- 文殊楼・萬拝堂の御朱印は大黒堂で対応
- 正覚院不動の御朱印は延暦寺会館フロントで書き置きのみ
- 荼枳尼天の御朱印は星峯稲荷堂の御朱印だが、根本中堂で対応
こうした情報は現地でも案内がありますが、事前に把握しておくとスムーズに巡れます。
まとめ:縁日御朱印は延暦寺ファンにこそおすすめ
縁日限定の御朱印は、授与日が限られるうえに数量も限られていることが多く、希少性の高い御朱印です。
御朱印帳に彩りを加えたい方や、特別な一枚を集めたい方は、ぜひ縁日のスケジュールを確認して訪れてみてください。
よくある質問 Q&A
まとめ
延暦寺では多彩な御朱印がいただけるため、御朱印巡りの旅にもぴったりな寺院です。
御朱印帳も通常のものから蒔絵が施された高級感あるものまで幅広く、特別感のある1冊を探している方にもおすすめです。
1日で全エリアを巡るのは難しいため、スケジュールには余裕をもって、御朱印とのご縁を大切に楽しんでみてくださいね。