法隆寺といえば「世界最古の木造建築」として知られ、国内外から多くの観光客が訪れる名所です。
でも「いつ世界遺産になったの?」「どんな理由で選ばれたの?」と聞かれると、意外と知らない方も多いのではないでしょうか。
この記事では、法隆寺が世界遺産に登録された年や理由、評価ポイント、そして登録された具体的な建物の一覧まで、わかりやすく解説します。
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法隆寺が世界遺産!いつ登録されたの?

法隆寺は平成5年12月11日、国内では初めての世界遺産登録となりました。
「法隆寺地域の仏像建造物」として世界遺産に登録されましたが、法隆寺と法起寺の二つの寺院が含まれています。
ちなみに法起寺(ほうきじ)とは、聖徳太子が亡くなった後に建てられたお寺で、「岡本寺」「池御寺(いけじりでら)」と呼ばれていました。
聖徳太子のゆかりの深い「岡本宮」の跡地を、子息の山背大兄王(やましろのおおえのおう)が寺に改めたのが始まりとされています。
法隆寺と同時に世界遺産に登録された建造物が、兵庫県姫路市の姫路城です。
法隆寺が世界遺産に登録された理由とは?

法隆寺は日本で初めて世界遺産胃登録されましたが、登録の理由は?と聞かれると、建物が古いから、歴史があるからなどの理由がすぐに浮かんできます。
しかし、法隆寺はそれだけの理由で世界遺産に登録されたわけではありません。
ではどんな理由があるのでしょうか?
また、登録においての評価もあるそうで、その評価を★5で表します。
世界最古の木造建造物
評価★★★
法隆寺は再建された建物もありますが、法起寺の3重の塔は中国から北朝鮮、そして日本に伝わってきた初期の建造物であることなどから世界最古の木造建物として評価されています。
芸術センス
評価★
仏教文化における木造建造物としては、日本の文化を知るうえでとても重要視されているようですが、芸術センスは評価が低いのだなと…
やはり、フランスのベルサイユ宮殿、モンサンミッシェル、スペインのサクラダ・ファミリアなど芸術的な観点からすると強豪が数多くそろっています。
しかし、法隆寺は世界最古級ですからね。
木造の仏像・寺院の歴史を語り継ぐ文化遺産
評価★★★★★
素晴らしい評価結果で、何だか嬉しくなります。
法隆寺の仏像は、飛鳥時代の特徴をはじめ、日本の彫刻史に残る優れたものが多く、百済観音像や救世観音像などは、当時の文化の材質や技法を用いた仏像が豊富に残っています。
また、木造の仏像のほかに銅像釈迦三尊、金銅仏、塑像(そぞう)押出仏、乾漆仏など各時代、各技法の仏像が残され、寺院の歴史を物語ることができるということです。
このような寺院は法隆寺のほかにはないといわれています。
宗教史上価値が高い
評価★★★★
聖徳太子や推古天皇の仏教愛はかなりのものだったのでしょうか?
世の中が仏教の教えにより平安な時代であったのか、それはわかりませんが目に見えないものを深く信仰し、人々の幸せを願い合う平和な世の中だったのでしょう。
だから、観音像をはじめ各仏像はすべて優しく微笑んでいらっしゃるのでしょうか?
ユネスコが評価した法隆寺の登録理由とは?

法隆寺が世界遺産に登録されたのは、単に古く価値のある建物だからではありません。
ユネスコは、登録にあたって「顕著な普遍的価値(Outstanding Universal Value)」を示すことを条件としており、10の評価基準のうち、いずれかを満たす必要があります。
1993年に「法隆寺地域の仏教建造物(Buddhist Monuments in the Horyu-ji Area)」として登録された際、ユネスコが認定した主な評価基準は以下の3つです。
(i)人類の創造的才能を表現する傑作
法隆寺の建築群は、世界最古の木造建築として知られています。飛鳥時代に築かれた五重塔や金堂などは、木材の組み方や屋根の反りなど、当時の技術力と美的感覚を今に伝える傑作です。
(ii)文化圏の価値交流を示す重要な証拠
日本へ仏教が伝来し、独自の建築様式として発展していった過程を示す重要な遺産です。中国や朝鮮半島の影響を受けながらも、日本独自の信仰や美意識が形成された様子がわかる建築群として評価されました。
(iv)歴史上の建築技術や様式の顕著な例
法隆寺に残る建築物や仏像は、飛鳥時代から奈良時代にかけての技術や様式を今に伝える貴重な資料です。木造建築に限らず、塑像や金銅仏など、多様な造形技法が用いられています。
こうした点が高く評価され、法隆寺は日本で初めての世界遺産登録を果たしました。単なる「古さ」だけでなく、世界的に見ても文化的・技術的にきわめて価値の高い遺産として認められたのです。
法隆寺が世界遺産に登録された具体的な建造物とは?
1993年に「法隆寺地域の仏教建造物」として登録されたのは、法隆寺と法起寺の主要な建造物群です。
具体的には以下の建築物が世界遺産に含まれています。
【法隆寺】(斑鳩町・西院伽藍)
- 金堂(飛鳥時代の仏堂、世界最古級)
- 五重塔(飛鳥時代の塔)
- 中門(飛鳥時代)
- 回廊(飛鳥時代)
- 鐘楼(奈良時代)
- 経蔵(奈良時代)
- 大講堂(平安時代)
- 東室・西室(僧侶の居住空間、飛鳥〜奈良時代)
【法隆寺・東院伽藍】
- 夢殿(奈良時代の八角円堂)
【法起寺】
- 三重塔(706年建立、日本最古の三重塔)
- 金堂(奈良時代)
- 講堂(奈良時代)
また、法隆寺の中には仏像・宝物としても国宝や重文指定されたものが多く存在しています。
これらは建物の内部に安置されているため、直接的には登録対象には含まれていませんが、法隆寺の歴史的価値を支える重要な要素です。
例:
- 百済観音像(飛鳥時代)
- 釈迦三尊像(飛鳥時代/鞍作止利作)
- 夢違観音像(飛鳥〜奈良時代)
- 救世観音像(奈良時代)
法隆寺は世界遺産に何番目に登録されたの?

法隆寺は1番目に世界遺産に登録されました。
平成5年12月11日でしたが、世界自然遺産で鹿児島の「屋久島」青森県・秋田県の「白神山地」が同じく平成5年に世界遺産に登録されています。
その翌年(平成6年)に京都府・滋賀県の17の寺社仏閣が世界遺産に登録されます。
最近では令和3年に奄美大島・徳之島、沖縄島北部と西表島や、北海道・北東北の縄文遺跡が世界遺産に登録されました。
法隆寺世界遺産!問題点があった?
遺産の保存
世界遺産に登録されれば、建造物や仏像なども同じ状態に保たなければいけません。
メンテナンスが一番大事ですね。
遺産の影響
世界遺産に登録されることは、とても名誉なことで嬉しいですね。
しかし、世界遺産に登録されたことから、「自分の土地なのだけど…」というケースもあるそうで、勝手にいじったりできないということもあるそうです。
潔く、お譲りしたらよいのでしょうか?
自分の家なら立ち退きを余儀なくされるのでしょうか?
ならば退くけど、新築資金を用意してくださいとお願いするかも知れません。
観光客による、地元の人々の生活に影響(混雑・騒音など)を及ぼすこともあるかもしれませんね。
来訪者戦略
世界遺産となると、人々はこぞってその地を訪れることでしょう。
器物破損や心無い落書き、木の枝を勝手に折るなど様々なトラブルも出てくるのではないでしょうか?
自治体関係の連携
地元の人々の協力が一番大切になってくるのではないでしょうか?
自治体の協力は最強だと思います。
わたしの住まいするところも、イベントなどが行われる際は自治会で美化作業が行われます。
世界遺産のそばには、人々の生活もあるということを決して忘れてはいけませんね。
法隆寺が世界遺産に登録されたのはいつ?【まとめ】
法隆寺は日本で初めて平成5年に世界遺産に登録されました。
なぜ法隆寺が世界遺産に登録されたかは、世界最古の木造建造物であることや日本文化を知るうえでとても重要な遺産であるということでした。
法隆寺が世界遺産に登録されることはとても嬉しい事ですが、問題点もあるようです。
世界遺産に登録されている場合は、それぞれの問題点に向き合い、小さくても私たち個人でも取り組めることはきっとあるはずです。
法隆寺は世界遺産の先駆けとなった寺院で、これからも歴史が受け継がれるよう素晴らしい法隆寺でありますようにと願いたいものです。