天王寺動物園がやばいって?経営状況や餌代について!

かつて天王寺動物園には、ゾウやコアラがいました。

どちらも知名度ば抜群のメジャーな動物ですが、現在はいません。

それはどちらも天王寺動物園の「やばい」経営状況が関係しています。

天王寺動物園はやばい経営状況なの?新規の動物確保が難しくなっている

野生からの捕獲により、動物園で飼育する動物をかつては確保していました。

現在は、動物を保護するための条約が設けられていることや、人間による動物の生育環境破壊・乱獲により、動物そのものの個体数が減少しています。

現在、動物園や水族館へ新規に迎える動物は、世界のどこかの動物園で繁殖に成功した個体を買い取るまたは借り受けることが多くなっています。

また、個体が高齢を迎える前に世界のどこかの動物園からつがいになりそうな個体を借り受け、繁殖につなげることが個体を保存する方法としてとられています。

しかしながら、人工の飼育下ではつがい同士の相性が悪いことや、仮に子どもが生まれても育児放棄などですぐに死亡してしまうケースもあり、繁殖には課題が多くあります。

1つ目のやばいは、「新規動物の確保が難しいこと」

えさを確保するのが大変

コアラは「ユーカリ」という特殊な植物を食べます。

正確には、ほぼユーカリしか食べません。

ほかの動物は、八百屋で流通しているような野菜を食べればよいのですが、コアラは生存競争の過程でユーカリやアカシア、ティーツリーの芽などタンニンを多く含む葉を好んで食べる習性があります。

コアラのえさの金額は、年間なんと6,000万円!

ゾウは、一般に流通している野菜や果物をえさとします。

ただし、体が大きいためその分量も多く摂取します。年間で4,000万円ほどのえさ代がかかります。

合計すると、えさ代だけで年間1億円かかるのです。

市営なので税金から捻出されていることを鑑みると、ランニングコストとしていかに高額であるか実感できるのではないでしょうか。

また、ユーカリは日本の自然環境では生育が難しく、天王寺動物園では大阪府や鹿児島県など1府4県の計5か所にわたって20種ちかくのユーカリを動物園用に業者へ委託して生育を行っていました。

台風や湿度、気温などの気候条件が、もとの生育地であるオーストラリアとは異なるため、国内での安定供給が難しいことが現状です。

現在日本にコアラのいる動物園は7園ありますが、ほかの園はわりと郊外にあるなどで敷地面積が広いため、園内や近隣に温室や土地を設け、買取のほかは自家栽培を行ってえさを確保しています。

これらを理由に、ゾウは高齢の個体の死去、コアラは繁殖のため海外の動物園に貸し出し後現在に至るまで、天王寺動物園ではゾウとコアラの飼育を行っていません。

2つ目のやばいは、「えさの確保が難しい種を飼育していることと、調達コスト」

天王寺動物園の経営について

公営動物園では全国3位の売り上げがあります。

上野動物園のように財団でなく、名古屋の東山動物園のように敷地面積が少ない中で3位は自助努力の結果ともいえるでしょう。

自然の生育環境に近い展示方法や、有名観光地の近くなど交通アクセスの良さ、近隣地域に居住する人口が多いこともこの理由の中に含まれることと考えられます。

来場者は右肩上がりである一方、市に財政を委ねながらの現行の運営方法では動物福祉に十分な設備をそろえにくいことが課題として挙げられていました。経営がやばい、困難であるというのはえさ代がかさむ動物のランニングコストです。

令和3年度より、日本の公営動物園として唯一の独立行政法人化し、より自由度の高い経営ができるようになりました。

今後の状況でコアラやゾウのような人気動物を再び迎えられる日が来ることを期待したいものです。

天王寺動物園はやばい?【まとめ】

天王寺動物園は、公営の動物園であり、敷地面積も限られているため、多くの動物を飼育することは難しい環境にあります。

また、動物保護の観点から、近年は新規に動物を確保すること自体が難しくなっています。

さらに、年間6,000万円のえさ代がかかるコアラや、4,000万円のえさ代がかかるゾウは人気動物であるものの、ランニングコストに手をこまねいていました。

それぞれ最後の各動物の死去や海外貸し出しに伴い、現在は飼育を中止しています。

市政とのバランスや動物福祉を考慮した環境づくりを鑑みて、令和3年度に「独立行政法人化」しました。これは、理化学研究所やJAXAのような区分ということです。

国や地方公共団体の予算の枠組みから外れ、税収のほかに独自のやり方で収益を得ることが可能になります。

飼育鑑賞の整備が功を奏して、来場者数は年々増加傾向にあるものの、ランニングコストや市政との兼ね合いで制約があることがやばいと思われる理由です。

仕組みが変わったことで、今後の動向に期待したいですね。